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ふと思うと俺が創ったシナリオって絶対「夢の世界」があんのねw
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プロフィール
HN:
狐さん
性別:
非公開
自己紹介:
生年月日:1642年水無月朔日

職業:妖怪(狐)

趣味:スイーツ(笑)づくり、東方、ものごとのリスト化
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「二ノ宮さん、明日からうちの課で働いてもらうことになった新入社員を新人教育してほしいんだけど」

E07817.jpg「あー?」

「あー?じゃなくて。珍しく新入社員入ってきたから。すごく真面目な子らしいから。新人研修して」

「別にいいんですけどあたしが新人研修したら世間一般の真面目な新入社員は翌日退社するんじゃないでしょうか」

「いや、別にそれならそうなってもかまわないから、とりあえず新人研修をしたという事実さえ成立すればそれで会社としては構わない」

「どういうことwww」
 


「これこれそうなってああいうことでどうなったらグッときてイエーイ。ここまでOK?」

「はい、だいたいわかりました。不明なことがあったら伺います」

「じゃあ藍沢さん、今から会員の方から人材派遣の問い合わせがあったときのシミュレーションをしましょう。レジュメの8ページを開いて、けれどその例文を読み合わせてもきっとイレギュラーな事態が多いから、最終的にはあなたのアドリブ力が試されると思うんだ。間違っていたら中断するから、やってみましょうか」

da-430079.jpg「はい、わかりました。よろしくお願いします」

LuLuLuLuLuLu

「お電話ありがとうございます、多目的人材派遣のKI-TSU-NEスタッフ、担当の藍沢絢でございます」

「あっ、あのう、ふへへへへ、わたくし、そ、そちらの会員になりました者なんですけれども、ぐへへへへへ」

「…」

「あ、あのう、今日はぁ、そちらで人材派遣のスタッフのかたをぉ、お願いしたいんですぅ。ふえーっへっへっへ」

「…」

「…応対は。どうしたの」

「…あ、あの。すいません。ちょっとびっくりしちゃったものですから」

「いや、ここで中断するのはおかしい。ちょっと。いいかな。うーん。どう説明しよう。藍沢さん、あなたはストーカーとか精神病のひとと電話で会話をしたことはあるかなあ」

「す、すいません、それは、ありません」

「ちょっとここは譲れないラインだな。半分健常でない人間の電話と言うものを、まあ言い方を悪くすると例えば変質者との電話を相手を傷つけないよう、途中で機嫌を損ねないよう、なおかつ、相手側が依頼することに対して、つまりうちの会社にお金を払う意思を継続させたまま電話を終わらせるには、どんなアレな人が依頼主でも真摯に会話を成立させないといけないと思うんだ。ここまではわかる?」

「はい、そこまでは理解できます。いえ、ちょっと驚いただけなんです。もう一度お願いします。今度はちゃんと応対させていただきます」

「そう。じゃあ続けましょう。ええと、本日はそちらで人の依頼をしようとしてまして」

「…あれ、口調が」

「ごめん。飽きたんだ。我ながら気持ち悪いし。いいから続けよう。依頼をお願いしたいんですが、よろしいでしょうか」

「は、はい。かしこまりました。恐れ入りますが、お名前と会員番号をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「名前は二ノ宮優次で、会員番号は978番です」

「かしこまりました」

「あ、復唱しよう。そこは」

「はい。かしこまりました。会員番号978番の二ノ宮様ですね」

「ええ」

「それで、本日はどのようなご依頼でしょうか?」

「実はわたくし、妻を千葉に残して単身赴任しているところでして、恥ずかしながらホームシックにかかっているのです」

「なるほど」

「ああ、そこも復唱しようか」

「あ、はい。二ノ宮様は奥様を千葉に残し単身赴任していらっしゃる。そして、ホームシックにかかっているのですね」

「そうそう。で、やりとりはしているのですが電話している時間もあまりなく、妻がメール無精でして、そこのところをですね…それと、私は料理が全くできないので妻の手料理に飢えているのもあるんです。ここまでおかしいでしょうか」

「いいえ、おかいしとは思いません。奥様と電話する時間もなく、メール無精なのでやりとりにご不満と言うことでしょうか。そして、二ノ宮様はお料理に疎くて、奥様の手料理を召し上がりたいと思っていらっしゃる」

「そうなんです。で、まず最初にやりとりについてです。電話はまあ諦めていますが、メールはこれは『妻を装った誰か』でも構わないと思っているんです。で、頻度は1日1回でいいんですが、ある程度コアな新婚夫婦のような内容で、例えば『ああ~ん今日もひとりでさみしいよぉー、ゆうじくんとちゅっちゅしたいよぉ』のような感じの文章がいいです。でも、そこまでセクシャルになる必要はないです。妻はそこまで大っぴらじゃないので」

「…」

「ほら、どうした?止まっちゃだめだよ」

「奥様を装った誰かでもよいので、1日1回、新婚夫婦のような内容でメールのやりとりをするのですね」

「復唱しよう」

「…え、今しましたが」

「いや、じゃなくて、メールの要求された内容を復唱しようって」

「…あ、あの。もう一度お願いしてもいいでしょうか」

「『ああ~ん今日もひとりでさみしいよぉー、ゆうじくんとちゅっちゅしたいよぉ』」

「…」

「はやく」

「メールの、内容は…例えば、…『あーん今日も一人でさみしいよー、ゆうじくんとちゅっちゅしたいよー』…ですね」

「違う。『ああ~ん今日もひとりでさみしいよぉー、ゆうじくんとちゅっちゅしたいよぉ』だよ」

「…」

「復唱はお客様が言った通り一字一句間違えずに語尾のアクセントまでしっかりと!」

「『ああ~ん今日もひとりでさみしいよぉー、ゆうじくんとちゅっちゅしたいよぉ』ですね」

「はい。そうです」

「…すいません、二ノ宮さん、少しだけ休憩をいただいてもよろしいでしょうか。少しめまいがしてきました」

「別にいいよ。うーん。いや、気持ちはわかるんだあ。あたしも新入社員のころ同じ感じになったかもしれないしね。でもねえ藍沢さん、これは覚えていてほしいんだけど、お客様が言ったことをメモするじゃない。それは殴り書きでもいいんだけど。でも、その内容はどんなに字が汚くても、誤字脱字省略は一切なく、お客様が言った通りの口調とアクセントで繰り返してほしい。信用と言うものはそこから生まれるんだ」

「…そうなんでしょうか。いえ、お客様が言った通りの言葉は理解できるんですが、口調とアクセントまでは」

「いやいや。もしもこっちの派遣したメンバーがお客様の要求通りにできず、棒読みになってしまったらそこに不満と手違いが発生して、費用を全額支払えないと言いだすかもしれない。そういうクレームはとてもばかばかしいの。だって、それは電話交換手である私たちが原因の半分を担うんだからね」

「な、なるほど」

「でしょ?お客様はきっと勇気を出して発言することもある、台本をあらかじめ書いておく人もいるでしょう。ひょっとしたら夜中や明け方のテンションで恥ずかしい中二病の文章を用意した人もいるでしょう。でも、そこでお客様が望んでいることを馬鹿にしてはならない。そして、それを復唱する自分は冷静に、恥ずかしがってはならない。下手をするとあたしはお客様の要求を伺い、泣き声やあえぎ声をあげなくてはならないかもしれない。もし仮にその結果、課内で『二ノ宮がなんかテレフォンセックスしてる』と思われたとしても、それは仕事なんだよ。それは割り切って行こう」

「に、二ノ宮さんってすごい方なんですね」

「自分の限界はよく知ってるから。まあ今言ったのはあくまで最たる例。あたしの限界。これ以上は、シラフじゃ無理」

「…」

「もうちょっと休む?」

「い、いいえ、もう大丈夫です」

「じゃあやろう。それでですね、メールについてはそのような感じでやってほしいんですが、同じ、メールをしてくださる女性で結構なんです。その方にはまず最初に私の妻から、時間がかかってもよいので料理を習ってきてほしいんですよ。それで、料理を覚えて慣れたら私のところに来て、妻に習った料理を作っていただきたいのです」

「…メールをするのと同じ女性で、奥様より料理を習い、ある程度料理を覚えたら二ノ宮様のお住まいに出向させ、お料理をするのですね」

「はい。ですから、話は前後してしまいますが、最終的に私のウィークリーマンションに来てもらうのですから、妻と同じような背格好の女性がいいんですよ。ただ、『あくまでこの人は自分の妻ではない』ことは心に刻んでおきたいですし、間違いが起こってはおけないのでその女性には仮面舞踏会で使うようなヴェネチアンマスクをしていただきたいのです。いや、あるいはKKKの白頭巾のようなものでも構いません。能面も悪くない。最悪、紙袋をかぶってもらう、とかでも。あ、大丈夫です。目のところに穴は開けますから。でないと料理できませんもんね」

o0300030010431727951.jpg「…」

「復唱しよう?」

「…二ノ宮さん、真っ最中にすいません。本当にすいませんが、これはあくまで常軌を逸した場合の…これは、その設定は現実的にはありえないですよね?」

「ううん。こういう依頼はあたしは受けたことがある。だから例にした」

「あの、ちょっと待ってください。おかしいですよ。その人の言い分とかそういうのもそうですけど、だってこの方、奥様を通して会社のスタッフの女性に料理を教えるようにしたんですよね?会社にお金を払ってまで。問題になるに決まってるじゃないですか」

「いや、そりゃあたしも気になったから聞いたよ。『単身赴任中に奥様の料理を毎日食べたいからといって、スタッフとは言え女性がマンションに伺うのは、しかも奥様を通して、そのようなご依頼はご家庭の問題にはならないでしょうか』って。でも、いいって言われたから受けたよ」

「だって。そのあとのお客様の家庭は」

「そこまでは踏みいることはできないなあ」

「ちょっと待ってください、それ以前にこの依頼主の方は普通に生活していらっしゃる―」

「藍沢さん、そういうことじゃない。そういうことじゃない。うちの顧客に健常性と金の心配をしては、いけない。この会社に人材派遣を依頼する人は何か欠損してるから。うん。特に会員番号3ケタ前半の人たちは。『町田市にゴミ袋のことで金を払いたくないから月額630円で町田市以外のどこかに捨ててきてくれる業者替わりのスタッフを依頼したい。予算は月額630円のほかに別途20万まで』とか平気で言われるんだ。でも、その人たちを傷つけちゃいけないし、できることなら彼らの夢はかなえてあげないといけない。もちろん度を越しておかしいって思ったら言ってあげなきゃいけないけど。そういう企業理念だから。大丈夫。じきに慣れるから。自分がおかしくなるわけではないから。スレるかもしれないけど。あたしの真似をしてれば上手くいくし、出世も早いと思う。この部署に来てくれたんなら。この会社はそういう人たちがいなくならない限り大きくなり続けるから。頑張ろう。一緒に頑張ろう」


「二ノ宮さん、藍沢さんなんだけど胃痛がひどいから出勤できないって」

「あー」

「でも、治ったらちゃんと出勤するから二ノ宮さんによろしくって」

「…ほう」

「続きそうな子で良かったねえ」

…骨のあるやつも、いるなぁ」

「なんか言った?」

「いえいえ、なんか今日、骨がかゆいなあって」
 

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