魅力的なことわざ講座…No.2
「羊たちの沈黙」
往々にしてよく騒ぐ羊は目立ち、観光客にちょっかいを出されたり、元気がよいと食肉にされたりとその後、碌なことにならない。
賢い羊は、鳴き声を上げずにおとなしくしていれば「元気がない」と判断され優先的に保護してもらったり、食肉として回されづらくなることもあるし、丁寧に羊毛を刈ってもらえることも理解している。
転じて、賢い者が自分の存在をアピールせず、無口を装って自分の身を守る行為を示すさま。
一部の賢い知識羊層にインタビューをしてこの件について尋ねると、「いいや、そこまで考えている羊はそんなに多くないよ。私の知る限り、殆どの鳴かない羊たちは『めえめえ鳴いてたら俺らがヤギと間違われるじゃねえか、馬鹿にしやがって』と思っている物だよ」という返事であった。(28日、ロイター)
類義語:口は災いのもと、能ある鷹は爪を隠す
<用法>
「こないだの学会、不苦労先生ったら重要なポストをあてがわれるのが嫌で仮病使って休んだそうよ」
「羊たちの沈黙とはまさにこのことだにゃー。にゃー」
ごきげんよう。狐です。
博多ラーメン(店は忘れた)のポスターがバス内に掲示されていた。
結構うまそうな博多ラーメンに、いかにも主張が強い見出し。
濃厚とんこつがうまかっ!
焦がしチップがよかたい!!
博多ばい
とまあ、ここまで潔く書いてくれるとこっちも興味を示すというか、麺好きとしてはいいねえ惹きつけられるねえ、といった感じだったんだが、眼を凝らしてよく見ると
※
うまかっ→おいしい
よかたい→良いよ
ばい→です
焦がしチップ→オニオン、ニンニクチップ
という注釈がついていた。もう、本当にいい加減にしてほしいと思う。誰がこんな注釈を望んだというのだろう。
じゃあ何か、ベネッセコーポレーションの通信教育の宣伝本にはベネッセ→よく+生きる コーポレーション→企業って書いてんのか。セガ・エンタープライゼスはセガ→SERVICE+GAME エンタープライゼス→会社って書いてんのか。全ての商品に。
もし仮に、このポスターを見てこのラーメン屋の本部に「うまかってどういう意味ですか?消費者に対して表現が不十分だと思います」とか誰かしらが電話したとしたら、そんなカスタマーは願い下げしても構わないと思うんだが。焦がしチップは焦がしチップだろうが。どうしてこうなんだ。ここまでお節介な注釈を入れるのは、逆に消費者を馬鹿にしていると思う。いや、博多弁を馬鹿にしてるのと意味合いは変わらないよ。違うか?
ラーメン屋の店主「あ、どうも板倉さん、おはようございます」
企業の広報部「おはようございます本間さん。今日はですねー、バスとかに掲示するポスターを作ってきたんですよ、ちょっと確認してもらってもいいですかー」
ラーメン屋の店主「あーどうもどうもすいませーん、これですかー、おおっ!いいっすねえー、うん、うん…」
企業の広報部「OKですか?OKでしたらこのまま通しますけど」
ラーメン屋の店主「うーん、板倉さんちょっと気になったんだけど、この、博多弁の意味説明注釈はいらないんじゃないかなあ。俺はちょっと気になるなー、外してもらえません?」
企業の広報部「え、いやそれは必要ですよ。みんながみんな博多弁を知ってるわけじゃないですから。全国展開するんですから、この注釈は必要ですよ。変な問い合わせが来ても迷惑ですからね」
ラーメン屋の店主「それは違うんじゃないかなあ?そんなこと言ったら風土料理をこういう形で紹介する企業は、全部方言に注釈をつけなくちゃいけなくなるじゃん」
企業の広報部「それは現場の意見でしょう、本社のデスクの意見も考慮していただけないと」
ラーメン屋の店主「そりゃおかしいよ、金を稼いでるのは本社じゃなくって現場で働く俺たちだよ?あんたの言ってることは、本社でつまんないクレームの電話を取るのが嫌だから注釈を入れた、ってことにしか俺には聞こえないよ。博多ばいは博多ばいでしょ」
企業の広報部「本間さん、あんまりこういうことを言うのは嫌なんですけどね、現場で起きた火種を解決するのも本社だってことお忘れではないですか。やれ腹を壊したとか、店員の態度がなってないとか聞いて解決するのは私たちなんですよ。確かに本間さんからしたら博多弁に注釈なんて何事だ、って思うかもしれないけど、私たちにとっては深刻なんですよ。わかりやすく、かつラーメン屋としての宣伝と博多らしさを混在させるとしたら、これ以上のポスターはないんですよ。穏便に、これでいいって言っていただけませんかねえ」
ラーメン屋の店主「気に障る言い方だなあ、こんなくだらない注釈の入ったポスター作って真顔で持ってきて、現場の意見シカトかよ、やってらんねえな、作り直して」
企業の広報部「何を考えてるんですか!私が徹夜して作ったのにその扱いは!コピーの位置からフォントまで本当に悩んで作ったのに!」
ラーメン屋の店主「本当に悩んで作ったら博多弁の注釈なんて入れるかよ!話になんねえ、帰ってくれ!」
企業の広報部「ああ帰りますよ!こんな偏屈な人を相手にするだけ時間の無駄だった!」
ラーメン屋の店主「へん、嫁に逃げられた男が何言ったってききやしねえよ」
企業の広報部「関係ないでしょう今その話は!本間さんだってこないだ奥さんじゃない女性と町田のホテル街を歩いてたでしょう!」
ラーメン屋の店主「板倉、てんめえ見てやがったのか!?このヤロ…、もう許さねえ、ちょっと面貸せや、その根性叩きなおしてやらあ」
企業の広報部「いいですよ相手になりましょう、これでも学生時代は空手をたしなんでたもんです」
ラーメン屋の店主「おもしれえ、今日はもう店じまいだ」
まさかそんなことが起こっているなんて。でも、どんなことがあろうと俺は本間さんの味方だ。本間さんリスペクト。本間さんマジパネェっす。こんちくわ、狐ですばい。焦がしチップ。