あ「そしたら課長、すいません11時からの新入社員研修行ってきまーす」
課「いてらー。第3会議室だからねー。目立って目立ちまくっておいで。人材派遣課の新入社員はすごいって思わせないと」
あ「はーい(*^ー゚)」

つかつかつかつかつか
二「…にしてもセミロングの優等生っぽい感じの若い女、だろ?そんな奴、人材育成課どころかこの会社で見たことがないというか…それ以前にこの会社の社員はほとんどモブキャラであるからして…」
?「ゆうさーん」
二「ん?」
?「ゆうさーん、メタ発言はなしにしとこうねー」
二「あん?」
?「あたしですよー」
二「おっ、神楽坂」
神「ハーイ、ゆうさん、おはようございます。やっと出れた」
二「ずいぶんもったいぶられたよな。今、大丈夫?ちょっと質問があるんだけど」
神「うちの柳田さんのことですかぁ?」
二「あ、それだ。それ。ごめんな神楽坂、昨日だな、知ってると思うけどうあたしんとこの新入社員がさ」
神「こっちこそ、すいませんです。一応、あの子には注意しといたからね、もう2度とないようにするよ」
二「ちょっと待て、あたしんとこの新入社員とケンカした女だよな?だれ。あたしの知らないとこでどっかからか異動でもしたか?」
神「ううん違う違う。柳田さんはねぇ、うちらんとこの、4人入った新入社員のひとり」
二「新入社員!?」
神「そういうこと。ゆうさんは知らない子ですよ」
脇役A「全員そろった?5分前だから出欠取りますよ。あ、比嘉中さん、おはようございます今日はどうも」
比「おはよーございます。本日研修講師やります人材育成課の比嘉中でーす」

「おはようございまーす」
脇役「名前呼ばれたら返事して。人材派遣課。藍沢さーん」
あ「はーい(´ー`)ノ」
比「え?あやちゃん来てんの?」
あ「はい。いまーす。もともと業務優先だったんですけど昨日、やっぱ行っていいとのことで」
比「あ、そ、そう…」
脇役A「人材育成課。市野さん」
脇役B「はい」
脇役A「上村さん」
脇役C「はい」
脇役A「東浦さん」
脇役D「はいっ」
脇役A「柳田さん」
柳「はい」
あ「…?」
_, ._
…(;゚ Д゚)
二「お前、お前、新入社員に事故報告書処理なんかやらせてんの?」
神「問題ないです。あたしだって、できないことをやらせるのは嫌いだからねー。あの子ねえ、もともと経理課希望だったんですよ。事務能力は新卒ってレベルじゃないです。できるからやらせてる、そんだけの話」
二「はあ。いかにも人材育成課だな。できるからやらせちまえってとこが。するとあれか、こないだ比嘉中課長がこっち来て言った、お前のマインドを完璧に受けついだスーパー新卒がいるってのは、その子のことか」
神「何?課長そんなこと言ってんの?まぁそこまで間違いはないかもですけどねー。総じて今年の新入社員はいい感じなんだけど、飛びぬけてあの子は、すごい。でもね、なかなか曲者ですよ」
二「だろうな。いや、あたしんとこの新卒も短気なんだけどさ。なかなかああいう風に怒る子じゃないからさ。どんな感じなのさ」
神「そぉだねぇ。あの子はねえ、ゆうさんをすっげえ刺々しくした感じって印象だったな」
二「…」
神「だってそっくりなんだもん。声のトーン、表情とかさぁ。もちろんけなしてないですよ?そんで、仕事もまあデキるデキる。あ、すげー。ゆうさんみてえって。ま、幼いけどね。全然さあ。ゆうさん26でしょ。でも精神年齢30ぐらいじゃん。あの子は口のきき方がクールぶってるだけで、精神年齢は低いよ」
二「お前な」
神「あ?怒った?すいませんすいません。誤解なきよう。ゆうさんのことは馬鹿にしてないよ。あたしもあの子のこと、こういう風に言ってますけどね、信頼してる。噂で聞いたんだよ、ゆうさんに舎弟ができたってさぁ。いいなーって思って。そしたら、あたしも運よくその子に会えたから。ガンガン教えたよ。あたしの考え方ってーか仕事のやり方をさ」
二「あれか?神楽坂、お前が仕事を教えると、人材派遣課のことを軽視するようになるのか?」
神「だーかーらー。怒んないでくださいぃー。違うの違う。あの子ねえ、スタッフあがりなんだよ。社員登用制度で社員なったの。その子はハタチのときからバイトでいるの。当時って山瀬さんが全盛期だったじゃん。変な仕事多かったから。あの子、ずっとそういう仕事、できるからやらされてたんだよ」
二「それは何か?ずっと変な仕事やらされてたせいで、変な仕事をあてがううちらのことが気にくわないってことなのか?」
神「さぁね」
二「そう言ってる時点でそうなんだよ。そのまま経理希望のまま通しとけばよかったろうに」
神「配属はあたしたちの管轄じゃあないですよ。その子、人材育成課で、嫌がんなかったらしいよ。なんか思うことがあったのかねぇ。でももちろん、私情を持ち込むなって言ってあるよ。だいたいさぁ、芝さん以外てんでダメな経理とかに、あんないい子もったいなくないですかぁ?」
二「ああ、もうわかった。ありがとな。少なくとも、あたしんとこの新卒にも問題はある。あとはこっちで考えるよ。もうそっちとケンカはさせない」
神「おっけーおっけー。あたしからもその子にもっかい言っとくよ。ゆうさんとことケンカするなって」
二「あー」
神「そんじゃーゆうさんまた。今度ホスト連れてってよぉ、新入社員連れてさぁ。考えといてねー。お疲れさまでーす」
二「…行かねえよ」
二「まったく」
二「小娘どもが」
LULULULULULULU
課「お電話承ります、多目的人材派遣のKI-TSU-NEスタッフ、担当の猪元でございます」
会「すいません、私は会員番号288番の平良諒子です。依頼の件でお電話を差し上げましたが、ただいまいかがでしょうか」
課「はい、私が承ります。どのようなご依頼でしょう?」
会「説明を最初にしないと、私の要望が伝わらないと思うんです。それを聞いていただいてもよろしいでしょうか?」
課「お伺いしましょう。どのような?」
会「はい、ダウンタウンのガキの使いで、岸部四郎が出演していたときの企画なんですが、岸部四郎とガキメンバーが料理対決をする、というのがありました。けど、全然料理は進まなかったんです。何でかと言いますと、岸部四郎が立て続けに誰かが掘った落とし穴に落ち続けてしまうため撮影が進行しない、結果何度も落とし穴に落ちた岸部四郎は激怒し、『すいませんてお前…もう金しかないないなあ!金持ってこーい!ええ顔して帰ったるよ!』と言って〆る、という企画があったのです」

課「ひょっとしたら私も見たことがあるかもしれません。なるほど、それで…」
会「私はコントを求めているわけではありません。岸部四郎が金に困っていたことに対し揶揄するつもりもありません。ただ、あのような『人間が連続的に落とし穴に落ち続けてしまう』というのが、お恥ずかしながら、私は見ていて楽しくて仕方がなかったのです」
課「ふむ。平良様は人間が連続的に落とし穴に落ち続けてしまうことに対し、楽しくて仕方がないと」

会「はい。そして、ここからが本題になるのですが、私には会社で虫の好かない他部署の女がいるんです。先ほども会話していて何度もイライラしてしまったのです。タメ口と敬語の境界を意識して混ぜてるのが本当にムカつくんです。私は、あいつが落とし穴に落ち続けるのを見たいのです。そのリアクションを見たくて仕方がないのです。もちろん怪我をしてほしいとまではいきません。どうか、私の苛立ちを緩和するべく、落とし穴を掘っていただきたいのです。できれば私の会社内に、私の眼の届く範囲にて。費用は見積もりを出してほしいんですが、社割を使います」
課「二ノ宮さん、どこにいるか知らないけど遊んでないでさっさと戻る。忙しいんだから」
→後編へつづくPR