柳「おはようございます、失礼いたします」
二「あれ柳田さん。何か用」
柳「お忙しいところ申し訳ございませんが、バカあやはおりますでしょうか」
二「…バカあやは会議資料調達中で席をはずしております。どうしたの?」
柳「いえ大したことではないのですが。昨日いただいた依頼について誰もやりたいスタッフが現れなかったものですから、派遣不可能で返却しようかと思ったら備考欄に彼女の字で『意地でも人探せ』とふざけたことを書いていましたので。だったらあんたがやれよ、と直接言いに来たところです」
二「いやwwごめんwwwええとね、もうちょっとで戻ると思うから、あやちゃんの机座ってていいから待ってて。呼んできたいんだけど今、みんな電話受けてる最中だから対応できなくてごめんね」
柳「大丈夫です、私は時間あります。電話が鳴ったら出たほうがよろしいのでしょうか?」
二「ごめんね、課が違うから、別に出なくていいから。お待たせしまして申し訳ございません、ご依頼の打ち合わせにつきまして―」
LULULULULULULU
柳「…」
LULULULULULULU
柳「…(出方がわかんないな)」
LULULULULULULU
二「あー柳田さん!出なくていいから!出なくていい」
柳「…(でも)」
LULULULULULULU
柳「…大変お待たせしまして申し訳ございません。多目的人材派遣のKI-TSU-NEスタッフ人材育成課の柳田がお伺いいたします」
二「…もう、いいんだって…はい。かしこまりました。見積もりはざっと見て12万」
柳「はい。はい。把握いたしました。ご依頼主様の彼氏様にプレゼントをお渡ししたいけれど、今まで男性にプレゼントをしたことがないからわからないということですね」
あ「ただいま戻りましたー…あ?
(#゚д゚メ)」
柳「うーん。確かに私や経験者の方々から口頭だけでアドバイスをしたところで百聞は一見にしかず、ですからね。では、倉田様?差し支えなければ、私、倉田様と一緒にプレゼント購入のため東急にご同伴させていただきますので、そこで私と一緒にプレゼントを選ぶ、というのはいかがでしょうか」
あ「おいお前、人ん机勝手に座ってなにしてんだよ」
柳「ちょっと待ってよ。もう少しで終わらすから。失礼しましたお待たせいたしました。はい。参考程度にはなるかと思います。私の彼も倉田様の彼氏様と年齢は近いですから、ええ。かしこまりました。それではお電話番号を控えさせていただいてもよろしいでしょうか」
_, ._
あ 「…
(;゚ Д゚) 」
柳「ちょっと待ってって言ってるじゃん。はい、大丈夫です。080-…はい。では、後ほどお電話いたしますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。終わったよ。どくよ。どけばいいんでしょ?」
あ「何お前勝手にあたしの机座ってあたしが受けるべき電話取ってるわけ?」
柳「今の依頼。大学生の女の子。会員番号4401番の倉田綾子様。彼氏にプレゼントしたいけど何あげていいかわかんないって。私が休みの日に一緒に買い物行って選んであげるってことで依頼料1万5千円発生したから、依頼書類も書いといたから。あんたは特に何もしなくていいよ」
あ「だ か ら。 何言ってんだこの能面。何でここいんのかって聞いてんだよ」
柳「ああ思い出した。あんたねえ、この依頼を自分で考えてやってくれる子がいるのかってことから疑いなよ、何なのこの依頼書。鬼先輩の十字ガットで公式試合に出場してくれるテニスプレイヤーを依頼し、審判の反応を録画したいとか、そんなのやってくれる子はいないんだよ。自分でやんなよ」
あ「ふざけんなお前、それを探すのがお前の仕事だろ」
二「やめなさい!」
課「あーいいからいいから。ケンカしない。柳田さんもう戻ってね、この依頼は俺が断っておくから」
二「あ、待って。課長、今の依頼の割り当て配分だけやらせないと」
課「あーそっかそっか、最近ないから忘れてた。柳田さん、あやちゃんと今の依頼費用、何対何でペイするか決めて」
柳「え?」
あ「は?」
二「他部課の社員が人材派遣課の仕事を請け負った場合、他部課の社員は依頼費用を対象となる人材派遣課の社員と配分するがその割合には選択権がある。社則」
課「要するに今の依頼費用、柳田さんとあやちゃんでお互いの取り分を分けるんだけどその割合は柳田さんが決めていいの。柳田さんは給料に反映されるから。10:0はダメね」
柳「あ、では7:3でいかがでしょうか」
あ「何調子こいてんのお前、お前があたしの机座って勝手に電話出て勝手に依頼受けたくせに何で7:3なわけ。5:5にしろや」
柳「意味わかんない。あんたが帰ってくるのが遅いから私が出たわけでしょ。電話出なかったら依頼になんなかったかもしれないじゃん」
あ「屁理屈こねんなタコ大体お前はな」
柳「どうやったら今のが屁理屈になんのかなあ、そろそろいい加減にしなよバカあや」
課「二宮さん、ソッコー人材育成課行って神楽坂さん呼んで。俺が爆発する前に。急いで。俺ね、他部課の女の子にキレるのあんまり好きじゃないの」
二「アイアイサー。すぐ連れてくるので精一杯我慢しててください」
二「君たちはアレかね?二人仲良く顛末書と反省文書かされて楽しい?」
あ「
。・゚・(ノД`)すません」
二「いいじゃないか7:3でも…だって自分が仕事してないのに、勝手にやってくれた奴が30%もバックしてくれるんだよ?おいしいとは思わない?」
あ「いやでも。あたしが出るはずだった電話をあの能面は」
二「いいかいあやちゃん。何かの不本意な事態があったとして。それを成り行きから結果までまで理解すると、意外と自分には都合がよかったなあ、と感じられるときがある。じゃあそれは利用すべきだよ。あやちゃんはね、あの電話は出れなかったんだよ。そう思いな。柳田さんが自分が受けれなかった電話をとってくれたんだ。そんで何もしなくてもわずかながら金が入ってきた。これから先、同じようなことがあったら!意地でも利用するんだ!その不本意な事態を、120%利用すんだよ!」
あ「二ノ宮さん顔が怖いですう」
二「まあわかりづらいだろうけど。あとで見せてやるよ、あたしの利用術ってもんを」
あ「…」
二「しかし柳田さんはじめてにしてはずいぶん上手かったな。さすがは神楽坂の血統ってとこか」
あ「
( ̄△ ̄;)え~~~~~~?」
二「いや。あやちゃんの方が断然しっかりしてるよもちろん。経験が違う。でもね、あの子は神楽坂に師事されたら相当強くなりそうだね」
あ「ああそうでした。会社史上唯一、二ノ宮さんに月間のペイで勝ったのって神楽坂さんしかいないんですよね」
二「2009年6月度。あれはショックだったな。年間では勝ったけど。そうだね。じゃあ、今度神楽坂を利用してみよう。見せてあげる」
あ「利用できるんですか、あの人…」
二「だってあいつ、ただの中二病だしw世に貴重な女の中二病www」
あ「いや、それは関係ないかと」
(つづく)
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