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二「よーしあやちゃん、ちょっと休憩入れようか」
あ「ふぃー疲れた( ;´Д`)」
二「見積もりも難しいもんでしょ?」
あ「むちゃくちゃ難しいです。これを瞬間的にやってる二ノ宮さんと課長を尊敬します」
二「芝浦さんが親切に教えてくれたからまだ楽なんだよ。あたしは教えるの下手だから本当によかった」
あ「運が良かったですね。ところで二ノ宮さん、さっきのことなんですけど。あたしが見積もりしたのと、二ノ宮さんの出した現実乖離指数が結構違ったのは何でなんですか?(´・ω・`)」
二「どの依頼のこと?」
あ「えーと、例えばあの、教習所と大学のテストのかた」
二「ちょっと待ってね。えーと、大学の急な試験日程と教習所の学科試験が同じ日程にかぶって、スケジュール的にずらすのが困難だから試験のほうに身代わりをおいてほしい、試験に出ることは全てノートにまとめてあり、持ち込み可だから出席すれば殆ど大丈夫、依頼主は教習所の学科をやるってやつか」
あ「そうです。あたしはこれ、指数は×1.0だと思ったんですけど、二ノ宮さん×1.8をつけましたよね。そんなに差が出るのは何でですか?費用が2倍近い差が出ますよね?(;´・ω・`)」
二「あのねえあやちゃん。あやちゃんには現実離れしてないように見えたでしょ。あたしには、結構まともじゃない依頼に感じたんだよ」
あ「そうですか?」
二「いいかいあやちゃん。この依頼の問題は、あたしたちに『この会員が、ちゃんと教習所に行ったかどうかは調べを入れないとわからない』。そうは思わないかい?」
あ「え?どういう…」
二「大学のテストについて、ノート持ち込みで身代わりを立てる。ここまではいい。けれど、この依頼主がもしも教習所に行かなかったとしたらどうなる?邪推するよ。この依頼主の彼氏をAくんとしよう。そして、共通の友人がBさんとして。もしもこの依頼主がふたまたをかけていて、別のCくんという男とデートをしていたら?Bさんと依頼主が同じ授業を受けていて、うちのスタッフは依頼主の私服を着て、伊達めがねとマスクして誰ともしゃべらずにテストを終わらせた。Bさんは、Aくんに『あの子、テスト出てたよ。風邪がひどそうですぐ帰っちゃったけど』と言ったとしたら?」
あ「あ!アリバイ工作!?」
二「その通り。教習所に行くと見せかけてこの子は浮気しに行く可能性も、なくはない。まあそこまで疑わなくてもいいけど、『そのとき依頼人は何をしているのか?』あたしたちがわからない依頼と言うものは、基本的に別の目的がある。こうかもしれない。『試験の後、担当講師に書斎の整頓をさせられた。結構重労働だったけど、残業代出ますよね?』とスタッフが言いだしたら?」
あ「まさか、会員は書斎の整頓をやらされるのをわかってて、けど知らないふりして試験のあと、うちのスタッフにそれを巻きこませた、とか?」
二「そう。その場合目的はテストじゃなくて書斎の整頓がしんどいからだよね。まあそれなら可愛いもんだ。この依頼主は例えば以前、書斎の整頓を手伝ってて、担当講師にセクハラを受けたとしよう。それはつまり」
あ「み、身代わり!まさに!」
二「だね。被害をうちのスタッフに移すために依頼したことにもなる。セクハラ被害の身代わりなんて、社則に触れるから電話段階で断るでしょ。でも、頭のいいやつがいて、教習所がどうとか計画を立ててそういう依頼をしてるかもって。疑えってことだよ」
あ「えええええこっわああああああああΣ(||゚Д゚)」
二「社則に触れて依頼を受けれない内容のを、現場に行ったスタッフが急遽やらされて、仕方なくやっちゃった、としたら、面倒だよ。例えば投薬実験体とか、ノーヘル運転とか、未成年へのタスポの貸し借りとかさ。そいつは確信犯的に、あたしたちが断ってしかるべきと思っている系統の仕事を、そういうのを断っていいのかどうか分からないスタッフにやらせることになるからね」
あ「な、なるほど…(;・A・)」
二「目的がぶれている可能性がある依頼は、現実離れしてるか倫理的におかしい。だからあたしは1.8をつけたんだよ。あとは、普通にイカれてると思った依頼は2.8以上つけていいからね」
あ「奥が深い…」
二「何、じきに慣れるよ…」
??「ふっふっふ。さすが二ノ宮さんだねえ」
あ「ん?」
二「あ…」
??「そこまで考える業務遂行力。最近の人材派遣課が絶好調な理由もうなずけるねえ」
二「ひ、比嘉中課長!お疲れ様です!わざわざ来てくださったんですか?」
あ「…え?(゜Д゜;)」
比「さっき来てくれてたみたいだからねえ。たまには顔出そうかなって思って」
二「忙しいのにすいません。でも、芝浦さんがいらっしゃったから。もう用件は済んだんですよ。申し訳ないです」
比「へえ、芝さんも来てたんだ。いやいや。ともかく顔出しに来ただけ。猪元も外出してるみたいだしねえ」
あ「え?(゜Д゜;)」
二「課長、もう少ししたら戻りますよ。あまり長居されないほうがよろしいかと」
比「うんうん。そんな遊んでいくつもりはないよ。こっちも忙しいからねえ、新入社員4人じゃあさすがに手いっぱいだよ」
二「あ!そうだそうだ!あやちゃん、初対面だよね?こちらが比嘉中課長。人材育成課の課長だよ、うちの会社の出世頭」
あ「…(゜Д゜;)」
二「はら、あやちゃん!ごあいさつ!すいません比嘉中課長、この子緊張してるみたいで。うちの新卒の、藍沢絢です」
比「こちらが噂の!二ノ宮さんの妹分だってねえ。よろしく頼むよ。比嘉中です」
あ「…(゜Д゜;)は、はい。あの。はじめまして。新入社員の、藍沢です」
比「はははは、ういういしいねえ。ういうい。そう言えば二ノ宮さん。話は変わって、猪元が来月、海外研修に行くって話は聞いたかい?」
二「はい!?なんですかそれ!初耳なんですけど!」
比「10日間アメリカ研修だよ。俺も去年行ったけど、順番順番みたいだねえ」
二「ありゃー。課長が10日抜けるのか…ちょっと大変だなこりゃ」
比「大丈夫大丈夫。みんなわかってるから。重役会議で、その10日間、二ノ宮さんに代わりをやってもらおうってさ」
二「いやだから、それが大変なんですよ。課長の仕事、多いじゃないですか。今期の業績予算、ご存知ですよね?うち、バカ高いの。人の勝負なんですよ。あたしが課長職やってたらオペレーターやってる時間なんてないですよ。来月の売上が取れないですよ」
比「そこも考えてる。10日間、メインオペレーターとしてうちの神楽坂を貸してあげる」
二「わ!」
比「これで業績面は大丈夫だろう?」
二「一概に大丈夫…かどうかは安心できないですけど…いや、神楽坂がいればたぶん問題はない…んですけど…ちょっと、そっちが大変じゃないですか?」
比「去年の二の舞にならないかってことだろ?あのときは済まなかった。俺が海外研修中で、教育不十分な新入社員が3人。神楽坂がいっぱいいっぱいになって人材を適切に派遣できなくてそっちに大迷惑をかけた。ほんとに済まなかった」
二「いえ、そのことはあたしは別にいいんですけど、やっぱそっちが心配って言うか」
比「安心しなさい。今回は同じ轍は踏まないよ。神楽坂が新入社員に完璧に教育を済ませたし、そのうちの一人が神楽坂のマインドを受け継いだスーパー新入社員トレーナーになっている。去年とは比べ物にならない強固な体制だ。絶対に君らに迷惑はかけない。もし俺らのせいでそっちにトラブルがいったら、俺は猪元の前で土下座して耳としっぽを切るよ」
あ「…(゜Д゜;)」
二「…さすがですね。わかりました。神楽坂に言っといてください、歓迎するから、気合い入れて来いって」
比「はははははは。言っておく。じゃあおいとまするよ。猪元に俺が来てたって内緒だよ?」
二「お疲れ様です、わざわざありがとうございました」
あ「…(゜Д゜;)あの、二ノ宮さん。あの方は」
二「すっげえオーラだろ?あれが人材育成課の課長だよ。知り合って長いけど、さすがのあたしもあの人には敬語しか使えないわ」
あ「いやあの。だって。あれはただの、ぬいぐる…」
二「何ちょっとお前、比嘉中課長ディスってるわけ?おいおいあの人を馬鹿にしたらあたしら親衛隊(ミッドナイトエンジェル)が黙っちゃいねーぞ!ヘイお前ら、こんなやつやっちまいな!比嘉中課長マジパネェっす!」
あ「すいません!二ノ宮さん!すいません!すいませんから目を覚ましてください!」
二「…おお、あやちゃん。あれ?何の話してたっけ?」
あ「…えーと。あのその。あー、課長が海外研修行くなんてびっくりですね。ふーんあの人が比嘉中課長かー(・ω・;)」
二「なー。まあエリートコースってことだなあ。あたしも2,3年後には行きたいなあ」
LULULULULULULU
あ「出ます」
二「うん」
あ「お電話ありがとうございます。多目的人材派遣のKI-TSU-NEスタッフ、担当の藍沢絢がお受けいたします」
二「…10日か。また神楽坂といっしょかあ…」
あ「申し訳ございません、少々お待ちいただけますか?…あのー二ノ宮さん、こちらの会員様から『10:30から11:00まで朝マックも食えないランチ価格でも食えないマクドナルドを糾弾するため、スタッフは何人使ってもいいから署名運動を行い日本マクドナルドに提出し、反応がない場合は見せしめとして各地で焼き打ち、つい殺っちゃうんだ

ドナルド狩りを行いたい』とのことなんですが、この方、会員を装ったうちの社長ですよね?(´・ω・`)」
二「現実乖離指数を×18にして見積もり出してやれ」
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